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右手を眺めて ・脳出血で倒れ、右半身麻痺、うつ病、統合失調症になってしまった百姓の闘病記。  (全31話)
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親父になる 第二部・26歳で息子を授かり、本当の意味での親父になるまでの物語。 第二部。(全25話)
親父になる 第三部・26歳で子供を授かり、本当の意味での親父になるまでの物語。新連載(連載中)

2014年5月6日火曜日

10話 彼女の思ひ出


序章・ 10・ 1112


岩魚
え?いったい何が起こったの?
あら?この人、だぁれ?
アタシ、お食事してただけなのに・・・ もしかして・・・
アタシ、釣られちゃったの?    
ちょっ、ちょっと待って・・・
その魚篭にアタシを入れる前に、ちょっとだけアタシの話を聞いてよ。
そのくらいの我が侭は許してちょうだいな。
       ・
       ・
       ・
そう、もう3年も前の話・・・
アタシのパパとママはダム湖に棲んでたの。
広くて気持ちのいい水なのよ。
湖畔には大きな木がせり出していて、涼しい木陰を作ってくれるのよ。
風が吹けば、たくさんの虫が落ちてくるの。
美味しい虫達をお腹いっぱいに食べるのよ。
公魚くん達もご馳走になるの。
とっても気持ちのいい水なのよ。    
秋、雨が降ってダム湖に流れ入る沢が増水したの。
パパとママはその沢を上っていったのよ。
行き着く所は、小砂利の緩い流れ・・・
貴方たち釣り人は、もういなかったわ。禁漁期だものね。
パパとママは小砂利の中にアタシを生んでくれたのよ。
       ・
       ・
       ・
1月の末、アタシは孵化したの。
冷たい水の流れに、初めて触れたのよ。
気持ち良かったわよ。
山は真っ白、踏み跡もなくて静かだったわ。
その頃のアタシは卵黄の養分だけで暮らすのよ。
川底の小石の間で、じっと春を待つの。    
4月になると、卵黄はなくなるのよ。
3~4cmくらいに成長した姉妹達と、浅く流れの緩い岸よりで暮らすの。
流れ落ちてくる小さな虫達を食べながら暮らし始めるのよ。
       ・
       ・
       ・
早いものね。あれから3年、やっとアタシも大人の仲間入りよ。
今年の秋には、彼氏を見つけてパパとママみたいになれるのよ。
だから今のうちに沢山食べて、体力をつけておかなきゃね。    
アタシ、ちょっと慌てちゃったみたいね。
貴方の毛鉤を虫ちゃんと間違えちゃったのね。    
つまらない話を聞いてくれて、ありがとう・・・
なんだか、気持ちがすっきりしたわ・・・
さあ、もう魚篭に入れてちょうだい。
貴方の肴になるなら・・・諦めもつくわ・・・
   
パシャッ・・・スゥ~ッ・・・
あら?逃がしてくれるの?お酒の肴は大丈夫なの?
助かるわぁ。ありがとう・・・
秋には元気な子供を産んで、この沢を岩魚の郷にするわ。    
・・・・・・・・・・
おう、頑張って産めよぉ。
また遊びに来るでなぁ。
もうちっとでかくなったら、また釣ってやるわぃ。
そん時ゃぁ、酒の肴だでなぁ・・・    
   

                      産卵期
                       10~11月頃
                          雄   満2歳~
                          雌   満3歳~
                  孵化積算水温(水温×孵化までの日数)
                          450度~550度
                  体長
                          満1歳   10cm~
                          満2歳   15cm~
                              ・
                              ・
                              ・
                          その後、餌の量、水量などによって
                          成長はまちまちのようですね。
                          1本の沢には
                          1種類の岩魚が棲むと言われます。


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